大阪市の中小企業の経営者様、人事労務担当者の皆様、いつもお疲れ様です。 大阪市を拠点に、企業の「人」に関するお悩みを解決する大神人事労務事務所です。
日々、懸命に会社を経営される中で、多くの経営者様が一度は頭を悩ませるのが「問題社員(ローパフォーマー、協調性の欠如、ハラスメント行為、勤怠不良など)への対応」ではないでしょうか。
「真面目に働いている他の社員に悪影響が出ている」 「注意したいけれど、パワハラと言われるのが怖い」 「いっそのこと辞めてもらいたいが、クビにしたら訴えられるのでは…」
中小企業にとって、社員一人の問題行動が組織全体に与えるダメージは、大企業以上に深刻です。しかし、感情に任せた対応や、労働法を無視した急な解雇は、かえって企業側を大きな法的リスク(不当解雇の訴えや損害賠償請求など)に晒すことになります。
本記事では、特定社会保険労務士の視点から、「会社を守り、他の真面目な社員を守るため」に、中小企業がとるべき正しい問題社員への対応ステップを、実務に即して徹底解説します。
1. 中小企業における「問題社員」がもたらす3つの重大リスク
まずは、問題社員を「見て見ぬふり」で放置することの危険性を再確認しましょう。特にリソースの限られた中小企業では、以下のリスクが致命傷になりかねません。
① 他の優秀な社員のモチベーション低下と離職
問題行動を起こす社員が野放しになっていると、周囲の社員は「なぜあの人だけ許されるのか」「真面目にやっている自分が馬鹿らしい」と感じるようになります。結果として、会社を支えてくれている優秀な社員から順番に辞めていくという最悪の連鎖が起こります。
② 職場環境の悪化と生産性の低下
業務指示に従わない、周囲に暴言を吐く、常に不機嫌でいるといった社員が一人いるだけで、職場の空気は重くなります。チームワークは崩壊し、業務の進捗や品質にダイレクトに悪影響を及ぼします。
③ 企業ブランド・社会的信用の失墜
顧客や取引先に対して失礼な態度をとる、SNSで会社の誹謗中傷や機密情報を流出させるといったリスクです。特に現代は、ネット上の口コミ一つで企業の信用が大きく揺らぐ時代です。
2. 【大原則】日本の労働法は「労働者保護」の性格が強い
対応ステップに入る前に、経営者様に必ず知っておいていただきたい厳然たる事実があります。それは、「日本の労働法(労働契約法・労働基準法)は、労働者の雇用を守ることを重視している」ということです。
労働契約法第16条には、解雇について以下のように定められています。
労働契約法 第16条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
これを「解雇権濫用の法理」といいます。 裁判所は、会社が社員を解雇にすることに対して、厳しいハードルを設けています。「仕事ができないから」「態度が悪いから」という理由だけでいきなり解雇すると、「不当解雇」と判断され、後から解雇後の期間に対するバックペイ(未払い賃金)や慰謝料の支払いを命じられる可能性があります。
だからこそ、「感情的にならず、法律に則ったステップ(プロセス)を正しく踏むこと」が、会社を守る手段なのです。
3. 社労士が直伝!問題社員対応の「5つのステップ」
では、具体的にどのように対応を進めればよいのでしょうか。大神人事労務事務所が推奨する、法的に安全で、かつ誠実な5つのステップを解説します。
【ステップ1】事実の正確な把握と「証拠」の収集
【ステップ2】口頭注意と「指導記録」の作成
【ステップ3】書面による警告(業務改善命令・譴責など)
【ステップ4】配置転換や懲戒処分の検討
【ステップ5】退職勧奨(合意による退職の検討)
【ステップ1】事実の正確な把握と「証拠」の収集
問題社員への対応で最も重要なのは「客観的な証拠」です。「いつも遅刻している気がする」「態度が悪いと噂で聞いた」といった曖昧な情報では、指導も処分もできません。
- 勤怠不良の場合: タイムカードの打刻データ、遅刻・欠勤届の有無
- 業務上のミス・能力不足の場合: ミスがあった具体的な日時、内容、それによって生じた損害や顧客からのクレームメール、報告書
- ハラスメント・協調性欠如の場合: 被害者や周囲の社員からのヒアリングシート(いつ、どこで、誰が、何を言った・したか)、メールやチャットツールの履歴
★社労士のアドバイス:裁判や労働局のあっせん(トラブル調停)になった際、命綱になるのはすべて「文字として残っている証拠」です。手帳のメモであっても、具体的な日時と内容が細かく記録されていれば、有力な証拠になり得ます。日常的な記録の癖をつけましょう。
【ステップ2】口頭注意と「指導記録」の作成
証拠が集まったら、まずは個別に面談を設け、口頭での注意・指導を行います。 ここでのポイントは、感情的に怒鳴るのではなく、「何が問題で、どう改善してほしいか」を具体的に伝えることです。
- ×「もっとやる気を出して」
- ○「今月は提出物の期限が3回遅れています。来月からは必ず期限前日までに1次報告を上げてください」
そして、面談が終わったら必ず「指導記録(面談記録)」を作成してください。 記録には、以下の内容を盛り込みます。
- 日時・場所・同席者
- 指導した具体的な内容(問題行動)
- 本人の弁明(言い分)
- 今後の改善目標・約束事
作成した記録は、可能であれば本人に確認させ、「内容に間違いありません」というサイン(署名)をもらうのが望ましいでしょう。拒否された場合は、「〇月〇日、〇〇部長が指導し、本人はサインを拒否した」と記録に残しておきます。
【ステップ3】書面による警告(業務改善命令・譴責など)
口頭での指導を何度も行っても一向に改善の兆しが見られない場合、次の段階として「書面による警告」へとステップアップします。
就業規則の定めに従い、「譴責(けんせき)」「戒告(かいこく)」といった軽い懲戒処分を行うか、改善目標や期限を明確にするために「業務改善命令書(PIP:業績改善プラン)」を交付して指導ます。
書面には、以下の内容を明記します。
- これまでの指導内容と、改善が見られなかった事実
- 一定の改善期間(例:1ヶ月〜3ヶ月)
- 期間内に達成すべき具体的な数値や目標
- 「期間内に改善が見られない場合、就業規則に基づき、さらに重い懲戒処分(降格・出勤停止・解雇など)を検討する」という文言(ここが極めて重要です)
書面で手渡すことで、本人に「会社は本気で問題視している」「このままでは雇用が危ない」という危機感を持たせることができます。
【ステップ4】配置転換や懲戒処分の検討
書面での警告期間が終了しても改善されない場合、いきなり解雇するのではなく、会社として解雇を回避するために、できる限りの努力をすることが必要です。
- 配置転換(部署異動): 「上司との相性が悪い」「現在の職務に向いていない」という可能性を排除するため、別の職種や部署に異動させ、そこでもう一度チャンスを与えます。
- 段階的な懲戒処分: 譴責(けんせき)から、減給、出勤停止、降格へと、就業規則に則って段階的に処分を重くしていきます。
【ステップ5】退職勧奨(合意による退職の検討)
会社として手を尽くしても改善せず、これ以上雇用を継続できないと判断した場合、最終手段として「解雇」を考えることになりますが、その前に必ず挟むべきなのが「退職勧奨(たいしょくかんしょう)」です。
退職勧奨とは、会社から社員に対して「お互いのために、そろそろ別の道を歩みませんか」と打診し、話し合いによって「合意退職」を目指す行為です。解雇ではなく、あくまで本人が納得して辞める形(自己都合、または会社都合の合意退職)をとるため、後からの法的なトラブルリスクが低くなります。
退職勧奨をスムーズに進めるコツ
- 「解雇ではない」ことを明確に伝え、あくまで選択権は本人にあるスタンスをとる。
- 「退職金を少し上乗せする」「有給消化を認める」といった、本人にとってのメリット(条件)を提示する。
- 合意に至った場合は、必ず**「合意退職書(退職合意書)」**を交わし、「今後、お互いに一切の債権債務がないこと(後から文句を言わないこと)」を明記する。
4. 中小企業の経営者がやってしまいがちな「絶対NGな対応」
問題社員に振り回され、精神的に追い詰められた経営者様が、良かれと思って、あるいは感情が爆発してやってしまいがちな「NG対応」があります。これらは企業側が100%不利になるため、絶対に避けてください。
❌ NGその1:退職の「強要」
退職勧奨自体は合法ですが、本人が「辞めません」と拒否しているにもかかわらず、別室に閉じ込めて問い詰めたり、「辞めないとどうなるか分かっているな」と脅したりすることは「退職の強要」となり、違法(パワハラ・不法行為)になります。
❌ NGその2:就業規則の無視、または就業規則がない
就業規則に「懲戒」の規定がない、あるいは規定があってもその手順(懲戒委員会を開く、弁明の機会を与えるなど)を無視して処分を行うと、どれだけ社員側が悪くても、手続きの不備として処分が無効になります。また、そもそも就業規則がない(あるいは労働者数10人未満だからと作っていない)状態での懲戒処分は非常にリスクが高いです。
❌ NGその3:感情的な暴言や「嫌がらせ」での自己都合退職誘導
「給料泥棒」「バカ」「明日から来なくていい」といった暴言を吐く、あるいは嫌がらせとして「仕事を与えない(干す)」「到底不可能な過大な目標を押し付ける」といった行為は、立派なパワーハラスメントです。相手が問題社員であっても、会社側がハラスメント加害者になってしまっては元も子もありません。
❌ NGその4:自宅待機命令中の「無給」対応
問題を起こした社員を「頭を冷やさせるため」「職場に来られると困るから」と自宅待機させる場合、会社の指示で休ませる以上、最低でも休業手当(平均賃金の6割以上)を支払う必要があります(自宅待機の理由や命令の内容によっては賃金全額の支払いが妥当と判断されるケースもあるため、事前に専門家へ確認することをおすすめします )。無給での自宅待機は、賃金未払いとして労働基準監督署から是正勧告を受ける原因になります。
5. 大神人事労務事務所が、大阪市の中小企業に「寄り添う」理由
ここまで問題社員への対応ステップを解説してきましたが、正直なところ、「理屈は分かっても、日々の業務に追われながらこれを自社だけで完璧にこなすのは難しい」というのが、多くの経営者様の本音ではないでしょうか。
特に大阪市の中小企業様におかれましては、経営者様自身がプレイングマネージャーとして最前線で働かれているケースが多く、問題社員一人に時間と精神的エネルギーを奪われることは、会社にとって大きな機会損失です。
私たち大神人事労務事務所は、単に「法律の条文を当てはめるだけの社労士」ではありません。
- 企業の味方として徹底伴走: 経営者様の「悔しい」「困った」「他の社員を守りたい」という想いにトコトン寄り添います。
- オーダーメイドの書面作成: 指導記録、業務改善命令書、退職合意書など、後々のリスクを徹底的に排除した、貴社専用の書面を作成・監修します。
- 就業規則のアップデート: いざという時に会社を守れる武器となるよう、時代と法改正(ハラスメント防止法など)に合わせた就業規則への見直しを行います。
- 面談のシナリオ作成・ロールプレイング: 「明日、本人と面談するが、どう切り出せばいいか?」という具体的なトークスクリプトのアドバイスや、想定される反論への切り返し方を事前に打ち合わせします。
まとめ:一人で悩まず、まずは「大神人事労務事務所」へご相談ください
問題社員への対応は、「初期対応のスピード」と「プロセスの正確性」がすべてです。こじれて大火事になってから消火するよりも、小さなボヤの段階で適切に処置する方が、コストも時間も、割かれる精神的負担も圧倒的に少なく済みます。
「うちのあの社員の行動、ちょっと問題かも…」 「そろそろ真剣に対策を立てないと、周りの社員が限界かもしれない」
そう感じられたら、手遅れになる前に、ぜひ一度大神人事労務事務所までお気軽にご相談ください。大阪の街ではたらく中小企業様が、安心して本業に集中し、全社員が生き生きと働ける職場環境づくりを、私たちが全力でサポートいたします!
【お問い合わせはこちら】
大神人事労務事務所(代表:特定社会保険労務士 大神 聡)
- 所在地:〒532-0004 大阪市淀川区西宮原1-8-10 Vianode SHIN-OSAKA 3F(新大阪駅 徒歩6分)
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