こんにちは。大阪市淀川区の新大阪駅近くを拠点に、中小企業の成長と安定経営を労務からサポートしている「大神人事労務事務所」です。
近年、人材不足が深刻化する中、大阪市内の中小企業においても、パートタイマーやアルバイト、契約社員(有期雇用労働者)といった非正規雇用の方々は、お店や事業を支える重要な戦力となっていることと思います。
そんな中、2026年(令和8年)10月1日より、パートタイム・有期雇用労働法関係の省令や指針が改正され、新しいルールがスタートします。
今回の改正は、いわゆる「同一労働同一賃金」の実効性をさらに高め、正社員とパート・有期雇用労働者の間の不合理な待遇差をなくすための非常に重要な見直しです。
「うちは人数が少ないから関係ないのでは?」「同一労働同一賃金なら、以前対応したはずだけど……」と思われている経営者の方もいらっしゃるかもしれません。しかし、今回の改正はすべての企業が対象であり、雇入れ時の労働条件通知書の書面変更など、具体的な実務対応が義務付けられています。
そこで本コラムでは、大阪市の中小企業の皆様に向けて、今回のルール改正のポイントと、今から準備しておくべき具体的な実務対応を、分かりやすく丁寧に解説します。
1. なぜ今、ルールが改正されるのか?(背景)
日本全体で少子高齢化が進み、特に大阪市内の商業・サービス業や製造業などでは、深刻な労働力不足が続いています。多様な働き方を選ぶ人が増える中で、「パートだから」「契約社員だから」という理由だけで基本給や手当、休暇などの待遇に格差がある状態は、労働者のモチベーション低下や離職につながるだけでなく、法的なリスク(損害賠償請求など)にも発展しかねません。
これまでも「同一労働同一賃金」の取り組みは求められてきましたが、今回の2026年10月の法改正では、さらに一歩踏み込み、「働く本人が待遇の差に納得でき、必要に応じて会社に説明を求めやすくする仕組み」が強化されました。
中小企業にとっては、法対応という側面だけでなく、「選ばれる会社」になり、優秀なパート・アルバイトスタッフを定着させるための大きなチャンスでもあります。
2. 改正のポイント①:雇入れ時の「労働条件明示事項」の追加
今回の改正で、実務上もっとも直接的な影響があるのが「雇入れ時の労働条件明示事項の追加」です。
パートタイム労働者や有期雇用労働者を新しく雇い入れる際、企業は労働条件(給与や勤務時間など)を書面などで明示しなければなりません(労働条件通知書や雇用契約書の発行)。
2026年10月1日以降は、これまでの明示事項に加え、新たに次の内容を含めることが義務化されます。
【新たに追加される明示事項】
「正社員との待遇の相違の内容・理由等について、会社に説明を求めることができる」という旨の明示
具体的にどう書けばいいの?
雇用契約書や労働条件通知書に、以下のような文言を追加する必要があります。
- 文言例:
「通常の労働者(正社員)との待遇の相違の内容および理由等について、会社へ説明を求めることができます。」
会社側からわざわざ「待遇の違いについて質問していいですよ」と書面で伝えなければならなくなる、ということです。
違反した場合のペナルティは?
もしこの明示を怠った場合、「10万円以下の過料(罰金のようなもの)」に処される可能性がありますので、決して「忘れていた」では済まされない重要なポイントです。
3. 改正のポイント②:「同一労働同一賃金ガイドライン」の見直し
もう一つの大きな柱が、厚生労働省が定める「同一労働同一賃金ガイドライン(指針)」の見直しです。
「どのような待遇の差が不合理(違法)で、どのような差なら認められるのか」という基準が、より具体的かつ厳しくなりました。
特に中小企業において見落とされがちな「手当」や「休暇」について、明確な方針が示されています。代表的な例を見てみましょう。
① 褒賞(永年勤続表彰など)
- ルールの方向性:
会社への貢献や勤続を称える「褒賞」について、それが「一定期間勤続した労働者に付与するもの」である場合、正社員と同じ期間勤続したパート・有期雇用労働者にも、原則として同一の褒賞を付与しなければならないとされました。 - 注意点: 「正社員は10年勤続で表彰金が出るが、パートは10年働いても何もなし」という運用は、今後は不合理と判断される可能性が極めて高くなります。
② 住宅手当
- ルールの方向性:
住宅手当が「転居を伴う配置の変更(転勤)の有無に応じて支給されるもの」である場合、正社員と全く同じように転勤の可能性があるパート・有期雇用労働者がいれば、正社員と同一の住宅手当を支給しなければならないと明確化されました。 - 注意点: 逆に言えば、「正社員は全国転勤があるが、パートは地域限定で転勤がない」という明確な役割・責任の相違があれば、支給に差をつける合理的な理由になります。大切なのは「実態として転勤の可能性があるかどうか」です。
③ 夏季冬季休暇(特別休暇)
- ルールの方向性:
お盆休みや年末年始など、会社の休日とは別に付与される「夏季冬季休暇」について、パート・有期雇用労働者にも正社員と同一の休暇を付与しなければならないとされました。 - 注意点: 週の勤務日数が少ないパートの方であれば、出勤日に応じた比例付与(日割りなどの配慮)は認められますが、「パートだから夏休みは一切なし」という極端な一律除外は認められなくなります。
4. 改正のポイント③:雇用管理の改善措置の強化
今回の法改正に伴い、企業が努力すべき「雇用管理の改善に関する指針」もアップデートされます。ポイントは以下の通りです。
- 公正な評価に基づく賃金決定:
パートだからと一律の時給にするのではなく、個人の能力や成果、役割などを公正に評価した上で賃金を決定する仕組みづくりが求められます。 - 労働者からの意見聴取:
定期的にパート・有期雇用労働者から職場環境や待遇に関する意見を聴く機会(面談やアンケートなど)を設けることが推奨されます。 - 過半数代表者への配慮と不利益取扱いの禁止:
職場の意見をまとめる労働者代表(過半数代表者)に対して、その活動を理由に解雇や減給などの不利益な取扱いをすることは厳禁です。また、円滑に活動できるよう、会議スペースや事務機器の提供といった必要な配慮を行うことも明記されました。
5. 大阪市の中小企業が今すぐ進めるべき「4つの実務対応」
「法律が変わることは分かったけれど、具体的に明日から何をすればいい?」とお悩みの経営者・人事担当者の方へ、2026年10月の施行に向けて段階的に進めるべき4つのステップをご提案します。
ステップ1:雇用契約書・労働条件通知書のひな形改訂
まずは最も期限が明確な対応です。2026年10月1日以降に新しく雇い入れるパート・アルバイト・契約社員に交付する「労働条件通知書(または雇用契約書)」のテンプレートに、「待遇差に関する説明を求めることができる」旨の文言を追加してください。
既存のスタッフについても、契約更新のタイミング等で新しい書面に切り替える、または説明ができる旨を分かりやすい資料で周知することが望ましいとされています。
ステップ2:正社員とパート・有期雇用労働者の「待遇差」の洗い出し
自社の賃金規程や就業規則、各種手当の支給基準を改めて確認しましょう。
- 基本給の決め方に違いはあるか?
- 賞与(ボーナス)や退職金はどうか?
- 役職手当、住宅手当、家族手当、通勤手当などの各種手当の支給対象は?
- 有給休暇以外の特別休暇(慶弔休暇や夏季冬季休暇)の付与基準は?
これらを一覧表にし、「正社員にはあるが、パートにはない待遇」をすべて書き出します。
ステップ3:待遇差がある場合の「理由」の明確化と明文化
洗い出した待遇の差について、「なぜ差があるのか」を客観的・合理的に説明できるかを検証します。
例えば、「正社員は月1回の休日出勤や緊急時の呼び出しがあるが、パートにはそれがない」「正社員は将来的に管理職への登用や転勤の可能性があるが、パートは業務範囲が限定されている」といった理由です。
もし「昔からの慣習だから」「パートだから」という曖昧な理由しか出てこない手当や休暇(例:通勤手当や食事手当、夏季休暇など)があれば、支給基準を見直すか、パートにも支給・付与する方向で検討する必要があります。
ステップ4:説明用資料(社内ガイドライン)の作成
パート社員から「なぜ私の時給や手当は正社員と違うのですか?」と質問された際、現場の店長や管理職が慌てず、同じ基準で論理的に説明できるように準備をしておきます。
待遇の相違内容やその理由をまとめた「説明用マニュアル」を作成しておくと、いざという時にスムーズに対応でき、会社と従業員の信頼関係を守ることにもつながります。
6. まとめ:労務環境の整備は「攻めの人材確保」につながる
今回の「パートタイム・有期雇用労働者のルール改正」は、一見すると中小企業にとって手続きが増え、コストアップの要因にも思えるかもしれません。
しかし、見方を変えれば、「不合理な格差のない、誰もが安心して働けるクリアな職場」であることをアピールできる絶好の機会です。大阪市内で優秀な人材を獲得し、長く働いてもらうためには、こうした法改正にいち早く対応し、誠実な雇用環境を整えている企業であることが強力な武器になります。
「自社の手当の基準が法律に違反していないか不安だ」
「雇用契約書の文言をどのように書き換えればいいか教えてほしい」
「パート社員向けの公正な評価制度を作りたい」
など、少しでも気になることがございましたら、どうぞお気軽に大神人事労務事務所までご相談ください。
地元・大阪市の中小企業に寄り添い、経営者の方々が安心して本業に集中できるよう、専門知識と豊富な実績を活かして全力でサポートいたします。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
【事務所概要】
- 事務所名: 大神人事労務事務所
- 所在地: 大阪市淀川区西宮原1-8-10 Vianode SHIN-OSAKA 3F(新大阪駅 徒歩6分)
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